模倣犯。
という言葉を聴いたことがあるでしょうか?
模倣とは「他のものをまねること。似せること」そしてそれに犯罪の犯という文字がつく。
簡単に言えば、誰かの犯罪を真似てコピーしながら同じような犯罪を行なう人。
その模倣犯という言葉はたまにテレビのワイドショーとかで出てきますね。
私がその言葉になぜ触れたかと言うと、今日ようやくみたのです。
2002年に公開され、色々話題になった映画。
宮部みゆき原作の模倣犯という小説。
原作は上記の二つで100万部を超える大ベストセラーになりました。
その作品を映画化したのが鬼才・森田芳光監督。
らしいのですが・・・・・・
DVDのアマゾンでの評価を少し見てみました。
めっちゃ評価悪い・・・・・・
いやああ・・・ここまで評価悪いとは思わなかった(今さっき映画を見たばっかりの人間としては・・ね)
それぐらい評価が悪い。
なぜここまで評価が悪いのか、評価の☆を少なくしている(悪い評価を下している)人はほとんどが原作を見ているから。
原作を見た人からしたら駄作らしい。
つまりそれほどまでに原作が優れていると言う事か。
簡単に言えば、原作をみた人がこの映画をみると最悪。
原作を見ていない人がこの映画を見ると大半が意味不明。
にあたるそうな。
この映画を見て、原作なんてみたくない、そう思わせるほどこの映画はダメだったらしいです。
個人的には結構見れたんですけどね。
なんでも見れる雑食だからなのかな。
とりあえず・・
映画のネタバレあるので見たくない方はきをつけて。
お話は起承転結ではなく、結→起承転結。
と言った感じで話が進んでいきます。
主人公の犯人役ピースにスマップの中居君。
被害者役に山崎努さん。
その他にも木村佳乃、藤井隆、津田寛治など堂々たるメンバーが出演している。
また演技も結構うまかったと思う。
まさか中居くんがここまで演技できるとは思わなかった(失礼な話なのかもしれないが彼の歌を聞いてると・・・ね)
山崎努さんは文句なしにすばらしかった。
さて映画の物語なのだが、先ほども書いたとおり、一旦事件が起こり、過去の話からまた現代に戻ってくるという手法をとっている。
この作品には色々なテーマが盛り込まれていると思う。
例えば被害者家族の想い。
山崎演じる有馬夫妻の心。
手紙を真似て書くシーンなど、その時、そして渡すときの山崎さんの演技はうまいなぁと思いました。
また、畳職人の妻である木村佳乃演じるライターの女や過去の一家惨殺(この事件の第一発見者だが一家惨殺は無関係)事件の生き残りの少年達とのやり取りなど、被害者にも焦点を当てている。
そしてマスコミやインターネットの怖さ、ひどさ、無責任さなどに忠告をしているかのようにも取れる。
ピース自身は自分に絶対の自信がありながらもどこか疎外感のような不安をかかえている感じがする。
「どうしてボクのレベルまできてくれないんだ」それが自分の自信と疎外感という感情を両方詰め込んだ言葉に聞こえたのはきのせいだろうか。
そうした感情所々に出ているところがある。
それは曲である。
エンディングロールを見るとわかるとおもうが、挿入曲でこういう名前の挿入曲が使われていた。
「ピースのジレンマ」
まさにそのままである。
彼はどこかでジレンマを感じていたのかもしれない。(もしくは常に)
そうしたジレンマの中、自分への絶対なる自信、自分の絶対なる孤独。
また、自分への疎外感などが感じ取れます。
物語の後半でベンチで山崎さんと中居さんが二人でしゃべるシーンがあります。
このシーンで山崎演じる有馬さんに言われた言葉に、無表情ではなく、まるで苦虫を噛み潰した顔をしながら話を聞くシーンがあります。
そのシーンが思い出に残る1シーンです。
というかこのベンチのシーンが物語の中核だと言っても過言ではないかもしれません。
そしてラスト・・・
なんだこれは・・
ようは木村演じるシゲコがピースにひっかけをするところがあるのですが、かなり低レベル。
そしてその後の展開がかなり無理やり。
時間が足りなかったの?
といいたくなるような展開のやり方。
シゲコが犯人が何故、この犯罪を行なったのかという心境を語っています。
しかし、犯人はとてもさめた表情。
呆れているかのようにすら見れます。
これはシゲコのひっかけが陳腐だっただけではなく、シゲコの犯人の心境を推察するシーンも陳腐だったから。
そう私には見えました。
そして問題のシーン。
テレビ局での爆破・・
あれはひどいよ(笑)
あれはコメディですよ・・・
映画館でみたら(≧m≦)ぷっ!と笑ってしまいそうな・・・
当時も賛否両論だったらしいですね。
その爆発のシーン手前の有馬さんとピースのやり取り。
有馬さんが「もっと他でその頭がつかえなかったのか?」と言うようにピースが頭がいいのは認めましょう。
少々頭でっかちだけどね。
だけどピースのいう「使命感」ってなんだ?
なぜ犯罪を犯したかという事に対し、「使命感」と答えた。
使命感・・・なんだろ・・
使命感で犯罪を犯した?
途中の「これからお前は自分のやった事のむなしさに苦しむだけだ」という言葉に何かに気付かされた、そんな表情に見えました。
ただ問題もある。
あの模倣犯というぶ厚い小説上下巻。
あれを2時間映画にするにはかなりの無理があったのではないか。
そう思わせられるところもかなりある。
なんせ展開が速い。
早すぎて、視聴者が置いて行かれるんじゃなかろうか、と思わせられるほど早い。
なので意味不明な部分も多々ある。
途中のヒロミのナンパシーン?もはっきりいって意味不明。
あれじゃ変質者だ。
言ってる意味もわからん。
変なものに固執する、と言いたいのだろうか?(女性ではなく10円という意味で)
また、物語中盤の別荘での食事シーンで「ピースが~~~」と始まる文面(白い文字で爆破したとか、お金をとったとか)も理解があまりできなかった。
まさか・・・
インターネットという情報の渦の中で、「ピース」という存在が、カリスマ化され、一人歩きして犯罪を犯している。
と、でも言いたいのだろうか?
はっきりいってわからなかった。
また、なぜ犯罪を行なったか。
それすら根本的に語られていない。
そして、「模倣犯」というタイトルの意味も、映画だけでは意味不明である。
これはやはり原作を見ろということなのだろうか。
良い原作の映画化というのは大抵失敗する、というイメージがある。
この作品はまさにその固定観念に当てはまったと言ったところだろう。
長い文を見ると眠気がでる悠ですが是非、買ってみてみたいと思いました。
こちらが模倣犯の原作の上下巻です(上のほうで紹介しているのと同じリンクです)
模倣犯・上巻
模倣犯・下巻
まあ・・・
原作を見た人は見るな!!ということですかね・・
見てない人、中居さんファンとかは見てもいいかもですが。